第2回(2002年度) 行政経営大賞(Public Management Awards)受賞者について
2003年4月30日
第2回の大賞は、以下の2名の方に決定しました。
(1) 谷口敏彦さん((財)農林水産奨励会・農林水産政策情報センター調査部長)
(2) 吉村慎一さん(福岡市役所市長室経営補佐部長)
谷口敏彦さんの受賞理由
谷口さんは、永年、農林水産省で技官としてご勤務の後、1999年から上記センターに勤務されています。谷口さんは、農水行政に行政評価(政策評価)が果たしうる役割に早くから注目し、海外事例をはじめ、国内各機関の動きについての調査・分析・紹介を続けてこられました。たとえば、同センターが毎月発行するAFFPRI reportで実務家・研究者向けに地道な解説をされたり、米国行政学会の行政評価マニュアル「Performance Measurement, Concepts and Techniques」の翻訳(「行政評価の世界標準モデル」(東京法令出版))を手がけられました。さらに、研修講師や寄稿もこなされ、現場と理論の橋渡しに努力されています。
行政OBは前職の蓄積で仕事をする方が多いようです。しかし谷口さんは海外文献を読みこなし、自ら海外調査に出かけ直接責任者に会って話をきくという姿勢を貫いておられます。実証的な調査姿勢は、実務家OBの真骨頂であり、また行政OBの第2の人生のあるべき姿としてモデルとなるものです。
吉村慎一さんの受賞理由
吉村さんは、1999年以来、市役所の「DNA改革」に取り組んでこられました。具体的には市長を補佐し、民間人からなる経営管理委員会を組織化し、NPM理論に裏打ちされた全国初の「明るい行政経営改革」の開発を支えました。吉村さんはDNA計画の策定、DNA運動の発動、展開というすべての段階にわたって、庁内の抵抗に身体を張って戦い、献身的に改革を先導されました。市役所と地域への愛情に満ちたその一貫して揺るぎない真摯な姿勢は、組織内に大きな共感を生みました。まさに組織内改革者のモデルといえるものです。
また近年、吉村さんは改革の過程で得た様々な知見を全国各地の自治体や大学院等での講演、あるいは著述を通じ全国に発信されています。また2002年には行政経営フォーラム九州部会・「もやい九州」を組織し、九州各地の公共セクター改革の実践に取り組んでいます。
以上